イチョウの異形葉性は、枝の伸長成長を促す植物ホルモン(主にオーキシン)が関わるだろうことを前回のブログで紹介しました。
また、筆者がテーマの一つとしてきた向背軸型の不等葉性もオーキシンが関わることはほぼ確実です。
例えば、複葉が十字対生となるニンジンボクに於いて、側枝の向軸側の葉は背軸側の葉よりも明らかに小さい不等葉性を示しますが、このような不等葉性は側枝に於けるオーキシンの偏在 関連付けて説明することができます に関わる可能性があると考えます(修正 2018年9月6日)。

植物の葉の大きさにオーキシンが影響を与えている可能性は、他の枝よりオーキシンが強く作用し、生育速度が格段に速い、ニンジンボクのヒコバエの葉が通常の数倍の大きさであることから窺い知ることができます。

左:通常の枝の葉 右:ヒコバエの葉
興味あることに、ニンジンボクの葉は、通常は小葉の縁に粗い鋸歯がある程度ですが、それに比して、ヒコバエの葉は、小葉が切り刻まれたような異形葉を見せます。

通常は小葉に鋸歯がある程度 ヒコバエの葉の小葉は大きく切れ込む
前回のブログで説明したイチョウも、成木とヒコバエの葉を比べると、ニンジンボクと同様に、イチョウヒコバエの葉は切り刻まれたような異形葉性を見せます。

イチョウの短枝の葉 イチョウのヒコバエの葉
筆者は数多くの植物の不等葉性を、オーキシンと関連付けて観察してきました。
その目をもってイチョウなどの異形葉を観ると、異形葉性も、枝の成長をつかさどる植物ホルモン(主にオーキシン)が一定の役割をなすように思えるのです。
以上のことなどから、筆者は異形葉発現に関し、一つの仮説を持つに至りました。
「植物の葉に鋸歯を付加し、切れ込みや分裂などの変化を見せる異形葉性は、主として、その葉が付く枝の成長を促進させる植物ホルモン(主にオーキシン)作用の影響下にある」
つまり、異形葉性発現には、オーキシンが深く関わっている筈と考えます。
これを「異形葉性 オーキシン仮説」と称することにしました。
で今回、上記仮説の下に新たな観察対象に選んだのがヤマグワです。
(注:ハナキササゲの斜め後ろですが、配置図にはまだ記載していません。)

しかし、ヤマグワの特徴である ①葉の先端が尾状に尖る ②果実が熟した後2~3mmの花柱痕が残る、の特徴を認めますので、ヤマグワであってもマグワではないと判断します。

この木の葉を観察しますと、枝に付く殆どの葉は、縁に粗い鋸歯を持つ卵形~広楕円形で、葉に切れ込みはありません。
しかし、この木の根元に育つヒコバエの葉は、これが同じ木の葉かと思うほどの切れ込みが入り、葉はアメーバーの如き形状を見せます。

ヤマグワの成木とそのヒコバエの葉を見比べて思うのは、ヤマグワはニンジンボクやイチョウと同様の機序で、異形葉を発現している可能性です。
ブログの字数制限のため、ページを改め、ヤマグワの異形葉発現に関する観察と考察を紹介します。