静かな新春1月6日の昼近く、のんびりと床を抜け出しました。
部屋で寛いでいると、昼を過ぎて窓の外に雪が降り始めました。
今日は酒に疲れた胃と体を休めるつもりでしたが、雪が降り始めたのを見て、急いで身支度を整え、小石川植物園へと車を走らせました。
桜園の端に立つと、見慣れた景色の染井吉野がモノトーンに染まっていました。
明治29(1896)年に平瀬作五郎によってイチョウ精子が発見され、世界の学会に大きな反響を起こしたイチョウの巨木が、鈍色の空の下で見事な輪郭を際立たせます。
振り返ると、100m以上も続くイロハモミジの並木(通称カエデ並木)の錦秋を彩り、役目を終えて散り落ちた紅の枯葉が、雪を被ります。
そしてモミジ並木が、密かに時を凍らせ始めました。
そしてモミジ並木が、密かに時を凍らせ始めました。
雪が降りしきる中を、森の奥へと進んでゆきました。
スズカケノキやボダイジュが枝を伸ばす道に、旅愁を漂わせる人影を認めました。
雪の寒さが、じわじわと靴の底から足に伝わり始めました。
温かい色が見たくなって梅園に足を運ぶと、12月末から咲き始めた、ウメの品種「扇流し」が紅色の蕾と共に、健気な花を咲かせていました。
そして雪の日にどうしても見ておきたい景色がありました。
何度見ても飽きない、メタセコイアの林の中から見上げる、空へ屹立する木々の姿です。
この景色を見るたびに「明日に向かって、さあ始めるぞ」の思いが湧き上がります。
皆さまもどうぞ、希望に満ちた初春の日々をお迎え下さい。
寒中お見舞いを申しあげます。
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