最初に、ヤマアイの生育可能な光条件が理解できる群落をお示します。
そして、その事実をより明確に比較検証できる場所を探し出しました。
小石川植物園の段丘崖の西端に、キリシマツツジが植栽された、南向きの斜面があります。
その斜面の中腹を横切る散策路の脇に、一株のキリシマツツジが育ち、その背後の木陰にヤマアイが葉を茂らせます。(位置=D020809)
キリシマツツジは冬も葉を落としませんので、ヤマアイが10月上旬ごろに双葉を出し、1月上旬ごろから生育を進める時期、この場所に直射日光は殆ど当たりません。
この場所のヤマアイ群落を斜面下から観察すると、ヤマアイは赤い線の上側に繁茂し、赤い線の下側に姿は見えません。
この状況からヤマアイは、一日中陽が当たる場所では生育できないだろうと考えます。
この状況からヤマアイは、一日中陽が当たる場所では生育できないだろうと考えます。
そして、その赤い線の上側は、年間を通して直射日光が当たらないエリアです。
今回、ヤマアイ23群で雌雄調査を行い、23群以外にも数多くの生育地を観察しました。
それら観察から、この場所の明るさは、ヤマアイが生育できるギリギリの光環境であることが分かります。
それら観察から、この場所の明るさは、ヤマアイが生育できるギリギリの光環境であることが分かります。
そして、この群落で雌雄比を確認すると、♂98株、♀3株、両性1株という結果が得られ、圧倒的に♂株優位でした。
次は、F080508エリアの、中国原産スイカズラ科の落葉小高木、ヘプタコディウム・ジャスミノイドスの下に育つ群落です。
この場所は、日本庭園へ向かう道の途中で、背後の段丘崖に常緑樹の森が茂り、午前中は陽が殆ど射しませんが、午後になると、冬に葉を落とすラクウショウの樹間から木漏れ日が射し、周囲に散乱光を遮るものはありません。
この場所も、ヤマアイの生育可能な光条件として、明るい環境と判断できます。
そして、この場所での雌雄比を確認すると、
♂97株、♀3株、両性2株という結果が得られ、この群も♂株が優位でした。
三番目に示すのはD030504エリアに育つヤマアイです。
この場所は、最初に紹介したキリシマツツジが植栽された斜面の右手、段丘崖を登る薄暗い階段の途中にあります。
東側にシラカシやマテバシイなど、樹高が高い常緑樹の森が光を遮り、午後遅くになって、開けた空から短時間だけ光が射しこむような場所です。
右下は、階段の上から群落を見下ろした写真ですが、南側の空の狭さがご理解頂けると思います。
この場所は、ヤマアイの生育可能な光環境としては最も暗い条件下と判断します。
左下写真で分かるように、ヤマアイはわずかに差し込む光さえも届かない樹下には進出できません。
この場所で雌雄比を調査すると、♂5株、♀86株、両性11株という結果で、この場所のヤマアイ群落は、圧倒的に♀株優位でした。
四番目にお示しするB030602エリアの群落は、3月10日頃にヒムロが伐採される前は、一人で抱え込めぬほどの太い幹が影を落としていた場所です。
この場所の背後に、ヒノキとスギの林が広がり、散乱光さえ少ない光環境です。
そして、この場所で実施したヤマアイ雌雄比調査は、♂22株、♀79株、両性1株という結果で、♀株優位でした。
以上のように、ヤマアイが生育可能な光環境下にあって、光が十分に得られる群落は、♂株優位となり、光が少ない群落は♀株優位となります。
そして、その事実をより明確に比較検証できる場所を探し出しました。
そこは、B030202エリアのヤブツバキが枝を広げる場所で、南側の一部に空が開けますが、午前10頃に撮影した上の写真のように、この時はまだヤマアイ群落に光は届きません。
しかし、下の写真のように、午前11時半ごろになると、ヤブツバキ下のヤマアイは光が遮られ、通路の反対側のヤマアイ群落は日の光を浴びています。
しかし、下の写真のように、午前11時半ごろになると、ヤブツバキ下のヤマアイは光が遮られ、通路の反対側のヤマアイ群落は日の光を浴びています。
この場所のA群とB群でヤマアイの雌雄比を調査しました。
その結果
A群 ♂28株、♀69株、両性5株 (光が少ない場所)
B群 ♂83株、♀15株、両性4株 (光が多い場所)
となり、得られた結果から、ヤマアイは光が十分な場所では、♂株数が多く、光が少ない場所では♀株数が多くなることが確認できました。
これらの結果と、前回のブログの解析結果を考え合わせ、
「ヤマアイの雌雄は光が決める」は間違いのない事実と判断しました。
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コメント
コメント一覧 (2)
気温・日照と肥料の関係を合わせて、実験できれば、はっきりするのではとアマチュアなりに考えます。
ashikawapapyrus
がしました
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