多くの方は冬の植物園を
「冬に行っても見るものがない」
「冬枯れした、寒々しい木や草を見ても面白くない」
などと思っているかもしれません。
しかし、以前の記事で紹介したように、大気圏の彼方まで澄み渡った青空に聳える大樹の造形美は本当に見事です。
そして冬の植物園では、予想する以上の彩を楽しむことができます。
例えば、小石川植物園で、NHKドラマ「赤ひげ先生」の舞台となった旧養生所の井戸の横に咲くカンザクラは多くの人の目を惹きますが、その枝に散り残る茜色の葉の美しさは格別です。
分類標本園で、オオツルボが伸ばす葉の若草色は、ウラハグサの枯色と好対照をなしていました。
ススキの葉は、驚くほどに多様な彩をみせて、紫に桃色珊瑚の光を当てたかのような葉の色が不思議です。
ロウヤガキの実の紅色とノシランの実の漆黒は、小鳥達の目にどのように映るのでしょうか。
花を咲き終えたシオンやタムラソウが、枝先に残したオブジェに淡いブラウンを見せています。
こんな色のジャケットを着こなしてみたいものです。
サツキは緑から朱へ、オオヤマツツジは緑から辛子色へ、グラデーションの葉を掲げていました。
クチナシは実をオレンジ色から赤色に染めて、ホンコンドウダンは新芽の鴇色に紅を差します。
セイヨウタンポポのタンポポ色とナンテンの赤に目が眩みました。
そしてメガルカヤやナガバノコウヤボウキの彩に安堵を感じるのは、古稀を迎える男の自然な生理なのかもしれません。
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