小石川植物園で樹木の生育過程を観察しようと考え、2018年の冬にヤブツバキの幹回りを計測しました。 「センチュリープロジェクト
 
 センチュリープロジェクトは樹木の生育過程を数値化して観察することが目的ですが、最初にヤブツバキを選定した理由は、ヤブツバキが日本固有種であって、木の寿命が長く、小石川植物園で多くの個体を長期間に亘って比較観察できるからです。

 植物の生育は、一般的に光や水など、様々な環境変化に影響を受けますが、樹木に関する検証研究は殆ど行われていません。

 そのような樹木の経年変化を解明する為には、対象個体群を一定の条件下で育てる生育実験が必要ですが、筆者は大学や研究所などに所属する研究者ではないので、樹木の生育実験を行うことは殆ど不可能です。

 しかし、数多くの標本が得られる樹種であれば、特定条件下の個体群を他群と比較することで、凡その推論が得られる可能性があります。

 勿論、数十年を要する観察が、一個人で完結するはずはありません。そんな個人の業績に結びつかない、バカバカしくて誰もやらない、やれないことを手掛けることに価値を見出します。

 そんなことを考えながら作業を行っていますと、昨年の2019年2月頃、宮崎県日南市の森林管理試験林で、飫肥杉(おびすぎ)の植栽密度を変化させ、同心円状に50年育てた結果、外周部のスギが中心部よりも5メートルも樹高が高く育ち、「植栽密度によって木の高さは変わらないとの定説」を覆す結果が得られたと、幾つかの新聞が報じていました。

 そうなのです、そんなことが分れば素敵だろうな~と思うのです。

 一連の作業をセンチュリープロジェクトと名付け、「100年後に結果が得られればいい、あるいは無駄でもいい」程の気持ちでデータを保存していましたが、コロナ騒ぎで外出もままならない日々が続き、暇な時間を得たので、今回資料を整理し、当ブログで公表することにしました。

 このブログ記事が、10年後に残る保証は全くありませんが、先々のことは、これからノンビリ考えようと思います。

 現在筆者は小石川植物園で、560株程のヤブツバキ個体を確認し計測していますが、今回は比較的樹形が単純で、先に作成した植物配置図(2019年3月2日 第4版)で継続的に個体識別が可能と思えるヤブツバキのデータを公表します。

 小石川植物園のヤブツバキ林やその周囲には、毎年実生のヤブツバキが育ちますので、そのような場所では、将来的に個体識別が難しくなる可能性もあり、データを全て活用できるとは限りませんが、50%程度の歩留まりであれば、何かが見えてくるかもしれません。

 幹回りは、地上130㎝の位置で計測し、途中で二又に分かれる場合など、夫々の分幹を地上130㎝の位置で計測しました。

 個体識別の為に、次回からのブログに幹の形や樹形と花の写真を提示します。

 樹高が高くて、多くの木が隣接している場合などは、個体の花を識別しきれていませんが、今後も継続的な調査を重ね、データの充実を図るつもりです。

 筆者はまた、昨秋ごろから喘息症状が悪化し、従来程に作業を進めなくなりました。

 来年は古稀を迎え、どこまでやれるかは分かりませんが、10年サイクルでの定期調査を考えています。

 尚、データ識別管理の利便性の為に測定値を㎜単位で記しますが、精度を担保するものではありません。

 
 センチュリープロジェクト 椿 資料ページ

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   9( E13-F07)  10( F07-F10) 11(F10-F11) 12(F11-G14)

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