小石川植物園の分類標本園の「アケボノスギ」の名札を付けたメタセコイア徒長枝の十字対生に葉のズレを見出しました。
そこで、もしやと思い、このメタセコイアの葉序を観察することにしました。
するとすぐに、枝に狭義のコクサギ型葉序を見出したのです。
上の写真で①~③の3組の対生葉序が上下にズレます。
赤②、③、黄③の葉腋から側枝が出ています。
赤②、③、黄③の3枚の葉は側枝の葉ではありません。
そして、黄①と黄②、赤②と赤③は枝の左右に二枚ずつ連続しています。
これは、狭義のコクサギ型葉序そのものです。
このメタセコイアは、このような狭義のコクサギ型葉序を数本の枝に発現させていました。
そして、以下の写真のような旋回葉序も確認することができました。
下の写真で、①~④のペアの葉に、枝の上下へのズレが生じています。
しかし今までの写真のように、枝の左右に葉が二枚ずつは並ばず、一見普通の互生葉序のように見えます。
この葉序の構造を模型で示すと以下のようになります。
断面が正方形の枝の十字対生を、手前の面の黄色い葉と、下面の緑色の葉を等間隔に右へ平行移動させた構造です。
一般的な互生葉序と同じ葉の配置に見えます。
上に示した模型を、見る角度を変えると以下のようになり、枝の左右に葉が二枚ずつ並ぶ狭義のコクサギ型葉序が姿を現します。
模型の枝の一面を黒白に塗ってあります。
見る角度を、どのように変えたかご理解頂けると思います。
以上のことと、前回のブログ内容を併せ考えると、メタセコイアの旋回葉序は、ヨコグラノキやネコノチチ等と異なり、最初に側枝に付く葉が横腹側にあるが為に、狭義のコクサギ型葉序や互生葉序様の二種類の表現型を持つと判断します。
そして以上のことは、筆者が「葉序進化のステップに関する考察」に記した、
「葉序の進化は対生葉序からダイレクトに旋回葉序(コクサギ型葉序)へと移行した可能性」
をも示唆すると考えます。