好奇心の植物観察

定年退職後に木の観察を始め、草にも手を広げました。楽しい日々が過ぎてゆきます。 (旧ブログ名 樹と木のお話)

2014年01月

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 去年の暮からお正月にかけて各種の行事が続き、酒を飲む機会が増えて体重も増加しました。
 
 元旦の血圧測定では、上が152、下が81と危険水域に達していました。

 こりゃイカン! と松が取れぬ内に、スポーツセンターへ行く回数を増やし、血圧を測りながら汗を流し続けました。
 
 徐々に改善の傾向が見えて、今朝の測定では、上が108、下が67と、すこぶる目出度い結果となりました。

 
 これで安心して、今夜からまた酒がたらふく飲めると言うものです。
 
 … ン? この発想で問題ないですよね?

 そう、いいんです、限りある人生、大いに楽しまなくちゃ。

 と言う訳で一昨日もまた、小石川植物園で梅の香を、精一杯楽しんできました。

 前回、1月19日の梅便りでは10品種の開花をご紹介致しましたが、1月28日には二十数品種で梅の開花を確認することができました。

 新しく開花が確認できたのは以下の品種です。
 
 写真の下の記号は南梅園北梅園での品種毎のアドレス番号です。
 
 
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 五節舞 D-5 9.6白③   八重寒紅 D-5 8.4白①    紅冬至 D-5 10.4青②
 
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 緋梅 E-5 2.5白⑤   鶯の谷 E-5 2.3青⑤   品種不明 -5 2.5N
 
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 品種不明 E-5 4.3N   古郷の錦 -6 1.6白⑧  緋の司 E-6 1.1緑⑥
 
 
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  黒雲 -6 4.1緑⑨    塒出の鷹 D-5 10.9黒 
 
 上記の他に南梅園の東屋周辺で品種名不明4株に開花を認めました。

 開花した品種を数えると、20を超えますが、梅園全体を見回すと、まだチラホラと咲いている印象しか受けません。

 それでも散策中に、鼻の深い場所で微かに漂う梅の香を感じると、今年も春が近づく気配を実感します。

 健康と平和を願って、今年も存分に春を楽しみたいものです。
 
 

 
 寒い日々が続いていますが、私は一昨日も植物園に出かけました。

 こんな季節に何しに行くの? と訝る人がいますので、今回はちょっとだけ、その楽しさの一端をご披露します。
 
 
 小石川植物園を訪ねると、私は必ず門を入ってすぐ左手の、淑女のイチョウに挨拶して先へ進むことにしています。
 
 枝が右手へとなびき「ようこそいらっしゃい。どうぞごゆっくり」と言ってくれている様に思われます。
 
 手前にある緑のソテツは日本人が初めて種子植物に精子があることを発見したソテツです。
 
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 向いのフクロミモクゲンジが、スポットライトを浴びるバレリーナの様に、今日も優雅な曲線を見せていました。

 この樹は秋になると一面に黄色い花を咲かせ、その小さな花がこぼれ落ちて頭上へ降り注ぎます。

 英名をgolden rain tree、黄金色の雨の樹と言います。
 
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 正門の先の坂を登り、桜林を抜けると、あの精子発見のイチョウが、リストを弾く、ピアニストの指のような枝を広げながら出迎えてくれました。

 
 精子が発見されたと言うことで、雄の樹と思っている方が多いのですが、実はこのイチョウも淑女なのです。

 しかし、このことに関しては、あまり深く詮索しないのが紳士のエチケットと言うべきものでしょう。
 
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 そこから先へ歩を進めると、モミジバスズカケノキの大木が白い雲を見下ろしながら、空一杯に枝を広げていました。

 モミジバスズカケノキはスズカケノキとアメリカスズカケノキの交配種で、300年程前にイギリスで作出され(見いだされ?)たそうです。
 
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 左手の木立の中で、背伸びしたキジュ(喜樹)が枝先だけ冬の陽を浴びながら、タップダンサーが口笛でも吹いているかの如き佇まいです。

 中国原産の樹木ですが、英名はHappy treeですから、陽気な鼻歌まじりの雰囲気に納得です。
 
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 少し進むと、ユリノキが梢の先に花殻を付けたまま、枝を伸び伸びとスウィングさせていました。

 ユリノキは北米東部が原産ですから、マンハッタン仕込みのジャズがお似合いです。
 
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 更に進むとコーカサスサワグルミがカクカクした表情でコサックダンスを踊っていました。

 コーカサスサワグルミは中央アジアが原産ですから、枝振りにお国柄が出るのでしょうか。
 
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 小石川植物園の奥座敷へと入ってきました。

 この辺りでは、惜しげもなく白い肌を晒したシマサルスベリが列をなしています。

 シラカバに似た色合いの樹皮は、北欧産を連想させるのですが、沖縄や台湾などに分布するそうです。

 
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 シマサルスベリの下の、枯葉が積もる道を進むと、カリン林に出ます。

 誰が集めたのか、切り株の周囲に芳香を漂わせた、上品な色彩のカリンの実が並べられていました。

 小石川植物園では時折、植物の絵を描く人々の姿を見かけますが、そのような方達が絵の素材として使ったのかもしれません。
 
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 人気の少ない植物園で冬枯れた木々を眺めながら、青い空に浮かび上がる木々の姿に空想の翼を膨らませ、自由気儘な時間を過ごすことは、筆者にとって、何ものにも代えがたい楽しみの一つとなっています。
 
筆者のホームページ 「PAPYRUS

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 若者達が人生を左右する進学試験に挑む日々、寒さも一段と厳しい季節ですが、小石川植物園の梅園では早くも梅の花がほころび始めました。
 
 

 厳しい季節の後に、必ず花開く日があることを告げてくれているかのようです。

 昨日は寒さに首を竦めながら、微笑を見せる、そんな梅の花を一輪ずつカメラで拾ってきました。
 
 
 昨年は小石川植物園梅園の梅の配置を、南梅園北梅園に分けて、このブログでご紹介しました。
 
 梅の品種名の後に添付した記号は、そのときご紹介したアドレスの位置番号です。
 
 
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 未開紅 E-6 7.7 青①  春日野 E-6 6.6 青④  雪月花 E-6 6.3 白③ 
 
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  白鷹 E-6 6.4 白①   寒紅梅 E-5 9.8 緑②
 
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 扇流し E-5 10.6 緑①  長寿 D-6 2-1 緑⑦  大湊 D-6 8-1 緑④
 
 
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 寒衣 D-5 10.4 白④   冬至 E-5 2.6 赤⑥   品種名不明 E-5 1.3 N
 
 
 昨年は東京も1月と2月に雪が降った記憶があります。
 
 今年も1月7日に小石川植物園を訪問した時には、池に氷が張っていました。
 
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 それでも今年は、昨年より少しは暖かいのかもしれません。
 
 凛とした大気の中で、青空へ流れる、ふくよかな梅の香を楽しんできました。
 
 今年も、梅から桜へと続く、水ぬるむ季節まで、梅の花と香を存分に楽しませてもらおうと思います。
 
  
 

 
 大陸からの高気圧に覆われた都会の空に青空が広がりました。

 静かな住宅街に長閑なカラスの鳴声が響く昼下がりです。
 
 今日はのんびりと、お正月以降に観察した木々の画像の整理を始めました。
 
 
 年を越しても、私は旋回葉序の木々が気になります。
 
 小石川植物園の分類標本園へ向かうと、ネコノチチの枝で、葉が落ちた後に残る葉痕が、剽軽な表情で出迎えてくれました。
 
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 細い枝の皮目は水玉模様ですが、
 
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 同じ木でも、枝が太くなるにつれて模様が変わってきます。
 
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 葉の繁る季節は、周囲の枝が邪魔で幹がよく見えないのですが、この季節ならではの木々の表情を堪能することができます。
 
 
 そんなネコノチチを見上げると、葉を落とした枝が空に伸びて、その枝が①②③④と旋回葉序の配置を見せていました。

 
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 枝への葉の並び方を葉序といいますが、幹に付く枝の配置は枝序とでも言うのでしょうか?

 そんな言葉があるかどうかは分かりませんが、垂直方向に伸びたネコノチチの幹では、明らかに枝も旋回葉序の配置となっていました。
 

 写真では分かり難いかもしれませんので、以前ご覧頂いた旋回葉序の葉の配置モデルを下にお示しします。

 
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 旋回葉序では、1と2、3と4の各々の葉が幹を挟んで上下にずれて相対し、1と2、3と4のペアは90°毎にずれて配置されています。
 
 そのような葉のペアが、ヘリコプターの羽根が旋回するかのようなイメージを伴って、枝先へ続きます。
 

 そのような、ネコノチチの葉に見られる旋回葉序のパターンを、幹に於ける枝の配置でも確認することができました。
 

 以前、「コクサギ型葉序のメリット」として、旋回葉序の葉の配列では、上下に位置する葉の相対距離が大きくなることで、光合成の効率を高められる可能性を指摘しました。
 

 幹に於ける枝の配置が、旋回葉序タイプの場合は、葉と同様のメリットがあると考えますが、その効果は飛躍的に増大するはずです。
 
 
 しかし、小石川植物園でネコノチチの隣にある、同じ旋回葉序の葉並びを示すヨコグラノキでは、枝に旋回葉序のパターンを確認することはできませんでした。
 
 旋回葉序を示す植物全てが、細部まで同一の行動パターンを示すとは限らないようです。
 
 
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 確認の為に、神代植物公園に赴き、サルスベリを観察してきました。
 
 定期的に剪定を受けていないサルスベリでは、幾つかの枝に旋回葉序のパターンを確認することができました。
 
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 植物は葉の脇から枝を出しますので、垂直方向に伸びた幹では、葉の旋回葉序のパターンが枝に反映することに何の不思議もありません。
 
 しかし、水平方向に伸びた枝で、旋回葉序の葉がコクサギ型葉序となるように、水平方向に伸びた枝の側枝の配列が、コクサギ型葉序と同じパターン、つまり、枝の左右へ側枝が二本ずつ並ぶような現象は殆ど起こらないようです。
 
 
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 椿の園芸品種は、古くから花の大きさや花弁の模様などと一緒に雄蕊の形も鑑賞されてきました。
 
 
 そこで、どのような形と名称があるのかを調べてみました。
 
 
 下に図示する、「筒しべ」「梅芯」「輪芯」「割りしべ」の他に「散芯」なども加えて区分されるようです。
 
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 神代植物公園の椿園で撮りためた写真の中から、雄蕊の形を以下にご紹介します。
 
 
 椿は同じ枝に咲く花でも「筒しべ」が「割りしべ」の形になったり、「梅芯」の中央の雄蕊が抜けて「輪芯」のような形になりますので、一つの品種に複数の蕊の形を見ることが度々でした。
 
 
 
 筒しべ 円筒形
抜筆
 
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 筒しべ 先太り
紅臘月
 
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 筒しべ 先細り
秋の山
 
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 梅芯
日月星
 
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 輪芯
多福弁天
 
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 割りしべ
沖の石
 
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 散芯
花橘
 
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 昨年の春から
 
 
 
 

 
 そして今回の「椿の雄蕊の形」と5度に亘って、椿の花の見分け方と鑑賞すべきポイントを御紹介してきました。
 
 
 これから椿園を訪問される方々の鑑賞の一助となれば幸いです。



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全国の花の名所 椿の名所」       
花の旅  「氷見に椿古木を訪ねる
 
 「五島列島の世界遺産と椿
北海道北限のツバキ探索
 
 

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