植物が枝の左右へ交互に葉を並べる葉の配置を互生葉序といいます。
この互生葉序で、葉が茎から出ている位置を、根本から順に枝先へ辿ると、葉が枝を螺旋状に2周する位置で0番目の葉と5番目の葉が重なるような葉の付き方を2/5葉序といいます。
この2/5葉序において、枝が地面と水平方向(横向き)に伸びたときに、夫々の葉が夫々の位置で、太陽の光を求めて葉柄を曲げるために、葉の並び方を上から見ると、枝のどちらかに、二枚続けて並ぶように見えることがあります。
前回の「コクサギ型葉序もどき 続」で、2/5葉序のヌマミズキやヤマブキ、桜のソメイヨシノ(染井吉野)等の枝が水平方向(横向き)に伸びると、特定の葉が、同じ方向に二枚並び、コクサギ型葉序のように見える様子をご紹介しました。
同様にヒトツバハギの3/8葉序も、2/5葉序とは別のパターンで葉を二枚並べます。
そこで、夫々のパターンを視覚的に説明できないかと考えてみました。
2/5葉序では、5枚の葉で枝を2周するので、葉と葉の角度、開度は360×2÷5=144°となります。
これを図示すると図①のようになります。
図①は、枝の断面図です。
図①
図①は、枝が地面に水平に伸びた状態を、枝先から見ています。
枝は奥からこちら側へ向かって伸びて来ています。
黒い線は太陽光線の方向を示します。
図①では、黒い線の右側に0枚目の葉があり、一枚目の葉はそこから時計回りに144°の位置に付きます。
同様に二枚、三枚、四枚と、葉の付く位置が枝を時計まわりに周回して、5枚目の葉で茎を二周し、最初の0枚目の葉と同じ位置で重なります。
図①の黒い線が太陽光線の向きですから、葉はその方向へ葉の表面を向けます。
実際のヤマブキの葉柄の写真をご覧下さい。
写真①
写真①は、ヤマブキが葉柄を曲げて、葉の表面を太陽の方向へ向けている様子です。
このような螺旋葉序であっても、各々の葉が、各々の位置で表面を太陽の方向へ向けるので、上から見れば、あたかも同一平面上に葉が並んでいるように見えます。
写真②
写真②で、0枚目の葉は、枝先から見て、枝の右側に葉を付けています。
1枚目の葉は、枝先から見て、時計まわりに144°回った位置、上から見て、0枚目の葉の反対側で、太陽光へ葉の表を向けています。
写真②の二枚目と三枚目の葉は、上から見て、0枚目の葉と同じ方向へ葉を付けています。
図①で確認すると、二枚目と三枚目の葉は、太陽光線の方向を示す黒い線の右側にあり、0枚目の葉と同じ方向へ葉を出します。
結果として、赤丸で示したように、二枚目と三枚目の葉が同じ方向へ、コクサギ型葉序のように二枚並ぶことになります。
以上のように図①を用いて、2/5葉序の枝が地面と水平になった時、理論上、葉が枝の左右へどのようなパターンで並ぶかを視覚的に説明することができます。
同様に3/8葉序を説明する図②を作成しました。
図②
3/8葉序では、8枚の葉で枝を3周するので、葉と葉の間の角度、開度は 360×3÷8=135°となります。
写真③は3/8葉序のヒトツバハギが水平方向に枝を伸ばした時の様子です。
図②の、黒い腺で示す太陽光線を基準にすると、枝へ螺旋状に付くヒトツバハギの葉が、枝を地面と水平に伸ばした時に、写真③のパターンで並ぶことを説明できます。
この場合も、赤丸で示すように、葉が同じ方向へ、コクサギ型葉序のように二枚並ぶ現象を確認することができます。
写真③
同様に5/13葉序の図③を作成しました。
5/13葉序では、13枚の葉が枝を5周します。
図③
図③から推定した、5/13葉序の水平状態での葉の見え方が図④です。
0、1、と左右へ交互に葉を出した後、2と3、6と7のように二枚の葉を並べるパターンとなります。
図④
セイタカアワダチソウやアーモンドなどが5/13葉序です。
しかし、これらの植物が13枚の葉を、地面と水平に展開する状況は考え難いので、現実には殆ど見ることができない現象かもしれません。