好奇心の植物観察

定年退職後に木の観察を始め、草にも手を広げました。楽しい日々が過ぎてゆきます。 (旧ブログ名 樹と木のお話)

2012年04月

 木々の緑が爽やかな季節、多種多様な花が咲き始めてきました。
 花が数日しか咲いていないものもありますから、可能な限り多く見ておきたいと、今日は神代植物公園に一番乗りでした。
 
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 深大寺門から入って、何時ものルートでバラ園方面へと向かいます。
 
 同じ道で約一ヶ月前と比べると、どれ程、緑の美しい季節になったのかが一目瞭然です。
 
 2012年3月22日                 2012年4月28日            
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 緑の梢から聞こえてくる小鳥たちの賑やかな囀りが、森を明るく、楽しい雰囲気に包み込んでいました
 
 アメリカハナズオウが林の片隅で、華やか色に朝日を浴びていました。
 
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 爽やかな春の到来です。
 きっと今日も、何か面白そうなものに出会える気がします。
 
 大温室へ入って行きますと、フロアでサボテンと多肉植物展が開催されていました。
 
 正直、最初はそんなに興味はなかったのですが、
 会場に「グラキリウス」とかいうマダガスカル原産の多肉植物が展示されていました。
 
 最初に昨年9月に種から発芽させた植物が発泡スチロールの中に展示されていました。
 
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 その横に1年、3年、8年、15年、30年と少しずつ大きくなってゆく「グラキリウス」が解説付で並べられていました。
 
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 えー、 この鉢の所有者は30年以上「グラキリウス」を育てているのでしょうか!
 
 次に展示してあったのが、リトープス属の植物です。
 南アフリカ原産で、同じような色の岩に紛れ、鳥や動物から身を守る擬態植物だそうです。「生きた石」とも言われているそうです。
 
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 見ているうちに、だんだんと興味が湧いてきて、カメラを構えていると、後ろから誰かが「写真が撮りにくいようですね」と言って、花の咲いている多肉植物の鉢を動かしてくれたのです。
 
 下の写真のような花の造形と色彩は今まで見たこともありませんでしたから、本当に嬉しくなりました。
 
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 不思議なフォルムの植物です。そしてなかなか魅力的です。
 
 後から声を掛けてくれたのは、国際多肉植物協会の代表で、NHK趣味の園芸などで解説をされている小林浩さんという方で、どうやら世界的にも名の知られた方のようです。
 話をお聞きすると、中学の頃から多肉植物の研究を始め、会社勤めのかたわら、爾来60年とのことでした。
 
 本当にまったく、 ひえー ・・・ ですね。
 
 小林さんのお話では、日本は多肉植物の研究で、今や世界をリードするまでになっているのだそうです。
 
 小林さんのお話をお聞きする内に、思わず、机に並べてあった多肉植物写真集を購入してしまいました。
 
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 「この表紙にあるような多肉植物が花を咲かせている場所に行ってみたい」と思ったりしたものですから・・・・・
 
 嗚呼! それにしてもまた一つ、行きたい所が増えてしまいました。
 
 そうそう、いつかホームページでご紹介させて頂いた「アデニウム オベスム」も多肉植物でした。
 
 
 神代植物公園の「サボテンと多肉植物展」は5月6日の日曜日までの開催だそうです。
 小林浩さんは、とっても親切で気さくな方でしたので、会場で質問すれば、色々と教えてくれるとおもいます。
 
 

 八王子の高尾にある多摩森林科学園へ行ってきました。
ここは桜の品種が250種も保存してある桜の名所です。
別の桜の名所に寄り道したので、多摩森林科学園に入ったのは11時頃だったでしょうか、入口では入園券の自動販売機に10人程の列ができていて、ちょっとびっくりしました。 
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 多摩森林科学園の園内は全てが丘陵地の斜面で、その斜面に今を盛りと桜が花を咲かせていました。 
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 桜を見ていると、それだけでもう「何も足さない、何も引かない」といった気分なので、今日は写真だけご覧頂いて、これで終わりです。 
 と云ったら「自己中だ!」と怒られそうですから、小メメに見てきたことを、ちょっとご紹介します。
 

 
 園内の「順路」の表示に沿って歩いて行きますと、最初に出会ったのが品種「楊貴妃」です。名前通りの華やかな姿で入園者を魅了していました。
 そして、その横の表示がとても丁寧な書きぶりでした。
 
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 通常は以下のように名前だけ掲示がされるのが一般的です。 

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 ところが、ここでは上のように二種類の表示がなされていました。
この後も殆どの品種に同様の表示がなされていました。
 それにしても「楊貴妃」の前に何でわざわざ「安行の」と記されているの?
  ・・・
 
いいお天気でした。
「山桜」が明るい臙脂色の若葉と薄い紅色の花のアンサンブルでお洒落に着飾っていました。
白とピンクの桜が萌黄色の若葉と重なり、のどかなハーモニーを奏でていました。
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今日も一日満足、満足、大満足です。
 
 桜見本林をぐるっと巡って、出口横の「森の科学館」に帰ってきたのが3時半を過ぎていました。
 中では20枚弱のパネルを使って、桜に関する丁寧な解説がされていました。
 閉園が4時ですから、斜め読みでしたが、写真に収めてきました。
 『新しい看板、読み方のコツ』として、先ほどご紹介した表示の内容が解説されています。

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 そして、別のパネルでは以下のような説明がなされていました。

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 つまり、昔から各地で、別の名前の品種として伝わってきたものが、遺伝子型を調べると同じものだったことが、最近になって分かってきたのだそうです。

 先週13日に新宿御苑で見た「太白」と今回見た「神代の駒繋」を比べて見ると、確かにパネルで説明されている通りかな、と思います。
 (画質が悪くてすみません) 

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 パネルの説明によりますと、別の場所で同じ名前で呼ばれていた桜が、遺伝子型は違うものだった、という場合もあるようです。 
 ということで今回は、掲示されていたパネルのように、桜の品種は「どの場所で、どんな名前で呼ばれていていたのか」の記録がとっても重要だ、ということが理解できました。
  
 OH!今回もまた一つ賢くなったゾ、と

 唯我独尊、自画自賛、自己満足で目出度し、目出度しです。
 
 筆者のホームページ 「PAPYRUS

 新宿御苑には70種を超える桜が植えられているそうです。
 
 いったい日本にはどれ程の種類の桜があるのだろうと、ネットで検索しますと、700種以上の桜を掲載しているページを見つけました。
 
 私も相当一生懸命に遊ぶほうと思っていましたが、上には上がいるものです!
 
 桜にはそれだけの魅力が備わっていると思いますが、それにしても、一銭にもならぬことに、これだけの情熱を傾ける人が居ることに感動しました。
 
 
 このページは新宿御苑で出会った桜の種類を紹介しようと思って書き始めましたが、少し出鼻をくじかれました。
 
 数も内容も、上で紹介したページとは比較になりませんが、折角ですから、一昨日、新宿御苑で見てきた桜の幾つかを紹介させて頂きます。
 
        横浜緋桜    八重紅枝垂    弁殿
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   三波川冬桜    ヒマラヤ緋桜    長州緋桜
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        太白     鬱金       白雪
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          大島桜        朱雀
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 こうして写真を並べてみると、梅と違って、桜は花を一輪ごとに見るより、全体の姿を楽しむほうが見ごたえがあります。
 
 桜は、一箇所に花芽が数個ずつ付くので、個々の花より、こんもり咲く姿が、私達の持ってる桜のイメージに近いせいかもしれません。
 
 桜は個々の木に咲く花数が多いことと、一枚ずつ花びらが散るので、散り際の華やかさも桜の大きな魅力の一つなのだと思います。

筆者のホームページ 「PAPYRUS
 
 

 東京では桜が散り始めました。
 名残を惜しんで、今日は新宿御苑へ出向き、思う存分に桜を楽しんできました。
 
 園内では至るところに桜吹雪が舞っていました。
 
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 水面に張り出した枝先から花びらがハラハラと散り落ちます。
 
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 池の下手に吹き寄せられた花弁が、白と薄紅色の縞模様を描いていました。
 
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 広い園内に桜色の絨毯を敷き詰めたような光景が広がります。
 
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 何と贅沢な光景でしょう。
 こんな景色を見ると、大げさではなく「生きてて良かった」と、心の底から素直に思えてきます。
 
 「生かせてもらえる僥倖に感謝しつつ、毎日を楽しみ、精一杯遊んで過ごしなさい」と桜が教えてくれているような気が致しました。
 
 
 林の隅では椿の花も、溢れんばかりに花を滴らせていました。
 
 
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 海棠が鮮やかに、艶やかに人々の視線を集めていました。
 池の上では新緑の枝垂柳が葉を揺らせています。
 
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 森へ入ると、桜の花びらの上で散り椿が風情を見せていました。
 
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 ところで、新宿御苑へ入園するとき、ちょっと大げさな光景を目にしました。
 
 門で黄色い制服の検査係が、入場者の持ち物にアルコールがないか、確認しているのです。
 
 私は思わず笑ってしまいましたが、目を合せた係員の方が恥ずかしそうに視線を外らしました。
 ほんと、恥ずかしい。   (こんなことまでしなければ、ルールを守れないなんて!)
 
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 でもね、 「酒なくて、何でこの世の桜かな」
 
 私は知っています。園内にただ一箇所お酒が飲める場所があることを。
 
 新宿門から入って日本庭園へ向かう途中のレストラン「ゆりのき」にはメニューにビール、ワイン、日本酒があるのです。
 
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 ゆっくりを園内を眺め歩いた後の昼さがり、
 自動販売機に千円札を入れて、白ワインのボタンを押しました。
 
 全部白状します。
 白ワインを飲み終えた後、もう一度自動販売機の赤ワインのボタンを押しました。
 
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 新宿御苑は入園料200円、グラスワインは一杯450円でした。
 
 ウーン、最高の贅沢!

 ヒイラギは葉がトゲトゲして、一年中ツヤツヤと緑の葉を茂らせるイメージがあります。
 
 冬でも緑の葉が生命力を想わせ、刺が邪気を払うとして、昔は節分に鰯の頭と一緒に門口に挿して、厄除けとして使われてきました。
 
 ところで、図鑑には 「ヒイラギは老木で全縁のものが多い」などと記載されています。
 つまり、年取った木では葉に刺がなくなり、縁が丸くなることが多い、のだそうです。
 
 
 人生60年、樹木に目を止めることなど無く過ごしてきました。
 朝起きて、慌ただしく顔を洗い、ネクタイ締めて会社に出て、夜は酒を飲んで帰ってくる生活を40年程も続けてきましたから、トゲのないヒイラギの葉などは見たこともなかったのです。

 
 それでも、トゲトゲしてないヒイラギって、いったいどんな形なのだろうか?と気にはなっていました。

 
 で、とうとう今回、やっと念願叶って丸い葉のヒイラギを見ることができました。
 
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 え、これがヒイラギ! びっくりしました。 
 
 こんな葉をした樹が名札を付けていなかったら、私には絶対にヒイラギだなんて分かりません。
 
 幹の直径は20センチ以上はありそうです。

 こんな大きなヒイラギの木を見たのも初めてでした。

 
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 しかし、良く見ると、根元付近の若い枝の葉はヒイラギらしくトゲトゲしています。
 
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 この日は別の場所でセイヨウヒイラギも見ることができました。
 
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 こちらの樹は十分に大きいのですが、葉はトゲトゲしています。
 
 そういえば、去年ミズーリー植物園で背の高いアメリカヒイラギを見ましたが、葉はトゲトゲしていました。

 同じヒイラギという名を持っていても、日本のヒイラギはモクセイ科で、セイヨウヒイラギアメリカヒイラギはモチノキ科だそうですから、日本のヒイラギだけが年をとると葉が丸くなるのかな?
 
 ある本には「セイヨウヒイラギも樹高が高くなると全縁になる」と書かれていますので、真相は定かではありません。
 
 
 誰かが横で、「貴方は年取って、丸くなったの?」と余計なおせっかを囁きます。
 
 
 ウーン・・・、 私は丸くなったふりをしていますが、ちっとも丸くないですね。
 
 丸くなったふりの擬態を演じ続けています。

 誰だ! タヌキ親父などと囁いたのは。
 
 
 追伸
 4月18日 多摩森林科学園でセイヨウヒイラギを観察する機会がありました。幹の太さは直径12~3センチ、樹高3メートル程度です。


 その葉は以下の写真のようにトゲのない丸い形をしており、根元から三本程立ち上がった細い幹に付いた葉にはトゲがありました。

 
 ある本に書かれていた「セイヨウヒイラギも樹高が高くなると縁がまるくなる」を多摩森林科学園で確認することができました。

 
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 もしかすると、セイヨウヒイラギと見分けた中に、類縁種のDNAが混じっているものがあるのかもしれません。
 
 と考えるよりも「セイヨウヒイラギも人と同じで、年取ってから丸くなるものと、トゲトゲしたままのものがある」と考えるべきなのでしょうか。
 
 
 追伸
  このページに検索で来られた方へ

  この記事から5年近い歳月をかけ、葉形が変化する理由として、
  オーキシンという植物ホルモンが関与している可能性を認めました。
  当ブログ「異形葉」の項目をご参照頂ければ幸いです。

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